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「シルクロードの観光推進について」

JTB中国旅行 取締役東京支店長
市川辰雄
昨年6月には、西安において開催された「WTO SILK ROAD FORUM」の席におきまして、日木の「TOUR OPERATOR」の立場で、お話をさせていただきました。今回は標記の「テーマ」で、お話をさせていただきたいと思います。
このような機会を与えて下さいました「WTOアジア太平洋事務所」の山下所長を始めスタッフの皆様に感謝申し上げると共に、誠に光栄に存じます。
先ず初めに「株式会社JTB中国旅行」に関しまして、簡単にご紹介申し上げます。「JTB中国旅行」は1989年4月、JTBグループの100番目の子会社として誕生しました。その目的は、JTBグループ内における「中国旅行」の販売強化であります。つまり、ツアーオペレーターとして、或いはルックJTBのホール・セラーとして、専門特化を図り、競争力を強くする狙いで設立された会社でございます。設立9年目を迎え、当社の中国方面への送客人数は年間11万人を取扱うまでに成長いたしました。(因みに、JTBグループ内の方面別会社としては、ハワイ、グアム・サイパン、アメリカ、ヨーロッパ等がございます。)
昨年の西安における「シルクロード・フォーラム」では一昨年当杜で開発いたしました、シルクロードを全線走破する「ユーラシア大陸横断」1万3千キロ・50日間バスの旅について報告いたしました。お陰様で、このツアーは、2年間で6回実施いたしまして参加されたお客様は延べ100人を越えるまでに成長し、定着してまいりました。このツアーに関するご報告は後ほど、お話させていただきたいと思います。
本日は、美しい響きを持つ「シルクロード」、多くの日本人にとって憧憬の念で語られる「究極のデスティネーション」シルクロードを旅行商品として作る側、つまり企画、販売するにあたりましての「問題点」を中心にお話しさせていただきたいと思います。ご出席の関係者の中には、或いは「辛口」の提案と映る場合もあるかと思いますが、シルクロードを「こよなく愛している」人間の発言として、ご容赦いただきたく予めご了承をお願い中し上げます。
「シルクロード」をツアーとして商品化(企画・手配・販促)するにあたっての問題点西安からイスタンブールまで直線距離にしても約1万キロ、さらに幾つかに枝分かれしている「シルクロード」を1回の「旅」で経験する事は不可能です。普通は何回かに分けて旅することになります。その場合、とてつもなく「広大」な空間のどの地域、何時の時代の「王朝」の歴史遺産にスポットをあてて、ツアーを計画するか?企画担当者の腕の見せ所でしょう。
また中国内のシルクロード、中央アジア、パキスタン、イラン、西アジアからアフリカ、ヨーロッパに至るシルクロードでは、それぞれ全く「旅行事情」が異なります。
この度機会を字えられましたので、「シルクロード」ツアーを企画する際の問題点を列挙しまして、改善にむけてのご提案をさせていただきたいと思います。

 

 

 

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